インフラの高所点検やロープアクセスによる点検において、近年、点検内容の質が極端に低い事案が発生しているとの声を耳にすることがあります。
ロープアクセスによる点検は、高所や難所へ安全に近接し、目視や打音などによって状態を確認する技術です。しかしこの分野では、見積もり金額だけを基準に業者を選定した結果、本来行われるべき近接目視が十分に実施されていないなど、点検の質に問題が生じるケースもあるようです。
その背景にはいくつかの要因があります。
まず、ロープアクセス技術は一般にはあまり馴染みのない分野であるため、技術の巧拙や作業レベルの違いが外からは分かりにくいという点があります。同じ「ロープアクセス」「ロープ高所作業」という言葉であっても、実際の技術力や安全管理、点検の精度には大きな差がある場合があります。
また、高所や難所で行われる作業であるため、発注者や第三者が現場の細部まで確認することが難しいという事情もあります。現場の状況が見えにくいことから、作業の質が十分に担保されていないまま進んでしまう可能性も否定できません。
さらに、インフラ点検の特徴として、一度点検が終わってしまうとやり直しが難しいという問題があります。成果品の段階で点検の質の低さに気づいたとしても、再度同じ条件で調査をやり直すことができないケースも多く、結果としてそのまま納品せざるを得ない状況になることもあります。
インフラ点検は、社会の安全を支える重要な業務です。業者のレベル、点検の内容、ロープ技術の安全性、作業の巧拙、そして技術者としてのモラルなど、さまざまな要素が品質に大きく影響します。