一般社団法人 ロープアクセス技術協会

ロープアクセス技術で、世界のインフラを守ります。

お問い合わせ

橋梁点検で大活躍! 横方向移動・トラバース技術のご紹介

ロープアクセスにおいて、垂直方向の昇降だけでなく、横方向への移動=「トラバース」は欠かせない重要な技術です。構造物の形状や点検対象に応じて、複数のトラバース手法を使い分けることで、安全かつ効率的な作業が可能になります。ここでは、3次元ロープアクセス技術【SORAT】が採用している代表的なトラバース技術をご紹介します。

 

3次元ロープアクセス技術【SORAT】|トラバース

横方向への移動も自由自在。迅速・安全・確実なトラバース移動を実現します。

トラバース①:ソロトラバース

 単独で横移動を行う基本技術。

 

トラバース②:キャタピラトラバース

 1本のロープの両端を結束し、輪っか状の無端ロープを形成。それを2名のロープユーザーが協力してぐるぐる回しながら進行します。

 いわば「無限軌道トラバース」または「水平エイドクライミング」。

 【SORAT】の代表的な基本技術のひとつです。

 

 

 

ソロトラバース(ひとりトラバース) / No RopeTraverse ALONE

「ひとりトラバース(No Rope Traverse=NRTr)」は、3次元ロープアクセス技術【3D-SORAT】における基本かつ重要な技術です。

名前の通り、一人で安全に横移動(トラバース)を行うための手法であり、複数アンカー間を確実に移動することで、高所や橋梁などの構造物点検を効率的かつ安全に行うことができます。

作業者はロング/ショート/可変のカウズテイル(安全確保用ランヤード)を使い分け、常にどこかに確実に確保された状態で移動します。アンカー間を移動する際にも常時2点確保が保たれるよう設計されており、孤立した状況下でも高い安全性が維持されます。

現場での実装例としては、橋梁下フランジの点検作業などが挙げられ、足場や重機を使用せず、迅速・低コストでのアクセスが可能となるのが大きな利点です。

 

5ステップで行うNRTの基本動作

NRTのトラバース動作は、以下の5つの手順で構成されます:

  1. 可変カウズテイル①を下降しながら、可変カウズテイル②を登高し視点1から2へ移動

  2. 可変カウズテイル①を完全に緩めて、可変カウズテイル②に体重を全て預ける

  3. 支点3にデイジーチェーンを長めに結束し、ロングカウズテイルを長めに接続する

  4. 支点1から可変カウズテイル①とデイジーチェーンを回収する

  5. 回収した可変カウズテイル①を支点3に接続する

この一連の動作により、作業を安全に実施できます。

 

NRTによる横桁通過手法例

横桁部を安全に通過するための一例として、NRT(No Rope Traverse)技術を応用した手法をご紹介します。(上図参照)

構造物にスカラップ(切り欠き)の有無や床版の位置関係によって、使用できるアンカーの位置は変化します。そのため、すべての現場で同一の方法が使えるわけではありませんが、「常に2点以上の自己確保を維持した状態で作業を行う」ことが基本です。

 

 

 

主桁に沿って移動 〜吊り金具トラバース〜

本技術は、橋梁主桁に設置された吊り金具を利用して移動・点検を行う基本的なロープアクセス手法です。

点検員は二人一組で行動し、先行者がリビレイ(安全確保支点)を構築しながら進行。後行者はその都度リビレイを解除して追従し、主桁に沿って効率よく点検を行います。

吊り金具の間隔が広く、リビレイの構築が難しい場合には、補助ロープ(サポートロープ)を追加して対応することもあります。

また、一本のロープをキャタピラのように循環利用することで、リギングとデリギングを効率よく連続して行う工夫も含まれており、安全とスピードの両立を実現しています。

注意点:先行者と後行者の間が2支点以上空ける

万一、支点が脱落した場合に二人の体重が同じ支点にかかることがないよう、先行者と後行者の間は2支点以上開けるようにしましょう。

 

跨線橋点検に最適|キャタピラトラバース

跨線橋点検では、「キャタピラトラバース」という手法が活用されています。これは、ロープの両端を結束した「無端ロープ」を使用し、作業員2人1組で横方向に移動する技術です。ロープをキャタピラのように回転させながら進むことから、こう呼ばれます。

【IRATA】ではあまり見られない技術ですが、【SORAT】においては基本技術であり、ごくオーソドックスな移動方法として、現場で多用されています。

 

特長とメリット

キャタピラトラバース

 ・作業員2名1組で無端ロープを用いて横移動を行う技術。

 ・先行の作業員が張設したロープを、後続の作業員が受け取り、循環させて次のアンカーへ移動します。

 ・SORAT技術の基本であり、効率的な点検が可能です。

架線への接触リスクなし

 ・ロープを主桁下端より下方に垂らさず移動・点検を行うので、調査員はもとよりロープが架線に触れることはありません。

夜間作業にも対応

・対象に至近距離でアプローチできるため、ヘッドライトの光だけで昼間と同様の精度で点検・調査が可能です。

・投光器や大型機材も不要で、騒音の心配もありません。住宅街での夜間作業も安心してお任せください。

時間厳守!

 ・限られた時間内で、安全・確実に作業を完遂。

 ・万一の事態にも柔軟に対応できるチーム編成と技術力が強みです。

 

 

この技術を学びたい方へ

3次元ロープアクセス技術【SORAT】は、従来のロープアクセスに新たな自由度と安全性を加えた革新的手法です。

キトラバースをはじめとした各種技術の習得を希望される方は、当ホームページのお問合せページからお問合せください。

現場で活かせるノウハウを、実践的に学べます。