ロープアクセス技術の原型は、ロッククライミングではなく、洞窟探検技術である SRT(Single Rope Techniques) にあります。
欧米では、SRTを応用した技術が建設業界でいち早く開発され、現在では IRATA(International Rope Access Trade Association)やSPRAT(Society of Professional Rope Access Technicians) といった国際組織によって、業界基準が整備されています。
日本においては、1990年代に株式会社きぃすとんがロープアクセス技術の開発を主導し、インフラ構造物の点検や調査、補修工事などに適用される技術として発展させました。
『3次元ロープアクセス技術【SORAT】』とは、株式会社きぃすとんが1990年代後半に開発した独自のロープアクセス技術です。
従来の「上下移動が主体」の技術に対して、きぃすとんが開発した技術は 『3次元ロープアクセス技術』 と呼ばれ、上下左右前後へと自由に移動が可能なため、橋梁の下側などの従来の技術では難所であった場所への安全なアクセスを実現。より高度な作業が可能となりました。
この技術は、インフラ構造物の調査・点検を目的に開発され、現在では補修工事や各種施工現場でも活用されています。高所・難所へのアクセスが安全・迅速に行える業界随一の技術であり、この技術を世界中に広めるべく当協会は活動しています。
『SORAT』の名称は、技術の管理・普及を行う 一般社団法人 ロープアクセス技術協会(Society Of Rope Access Techniques) の略称「SORAT」に由来しています。
読み方は「ソラット」です。
技術名称
ロープアクセス技術【SORAT】
技術略称
【SORAT】、もしくは【SORAT】技術
技術開発者
株式会社きぃすとん / Keystone Co.,Ltd.
開発時期
1990年台後半。技術発展は継続中。
技術管理者
一般社団法人 ロープアクセス技術協会、略称SORAT
(講習・資格、技術マニュアル書発行)
技術の特徴
安全確保技術
ライフラインとは、ロープ高所作業において、安全を確保するために使用される「予備ロープ」のことです。
主にメインロープと並行して設置され、万が一メインロープが切断や破損した際に備えるものです。世界中でロープ高所作業において、ライフラインの使用が義務付けられています。
日本では改正安全衛生規則(2016年)において、『ロープ高所作業』が定義づけられ、ロープ高所作業での“ライフラインの使用”が義務づけられました。
ライフラインを使用する作業では、通常 「2本確保」 という安全確保方式が取られます。この方式では、メインロープとライフラインの2本のロープを使用し、ロープ作業者の体重を支えるため、移動方向は基本的に「上下」のみになります。
一方、きぃすとんが開発した 3次元ロープアクセス技術【SORAT】 では、 「2点確保」 を採用しています。2点確保は、2つ以上の支持点にロープを緊結して、作業者を支える安全技術です。
これにより、上下だけでなく、 左右・前後へと3次元的な自由移動 が可能になり、安全を保ちながら効率的な作業を実現します。
【SORAT】技術は、 改正安全衛生規則(2016年) に基づいた安全技術です。また、 国土交通省の「橋梁点検要領」 にも認定されており、インフラ点検業務において欠かせない技術として評価されています。
『2点確保』の基本理念は、常に2点以上の支持点で作業者を支えることで、 万が一1点での確保が失われても、もう1点が残り墜落を防ぐ というものです。
この仕組みにより、ライフラインを使用しなくても安全が確保されるのです。
『2点確保』を採用した【SORAT】技術は、従来の上下移動に限定された『2本確保』を超えた自由な移動を可能にします。以下のようなプロセスによって、作業者は常に安全を確保しながら3次元的に移動できます。
このように、【SORAT】は高所作業の新たな可能性を広げる革新的なロープアクセス技術です。
当協会は、ロープアクセス技術の普及と安全確保を目指す団体です。
講習・資格制度の内容から、事業者様の安全管理に関するご相談まで、幅広くお問合せを受け付けております。
一つひとつ丁寧にお答えしますので、どうぞ安心してご連絡ください。