ライフライン

ライフラインとは、メインロープと併せて“念のために使う”もう1本のロープのことで、メインロープでの確保が失われた場合に備えて、使用が世界中で義務づけられています。日本では改正安全衛生規則(2016年)において、『ロープ高所作業』が定義づけられ、ロープ高所作業での“ライフラインの使用”が義務づけられました。

メインロープとライフライン

自由自在に移動ができる3次元ロープアクセス技術【SORAT】

『2本確保』と
『2点確保』

メインロープとライフラインの2本のロープでロープユーザー(ロープ作業者)の体重を支え、かつ墜落しないように安全を確保する技術を、便宜上『2本確保』と、呼ぶことにします。『2本確保』では、ロープユーザーの移動方向は上下方向にほぼ限定されます。
これに対して、【SORAT】は、2点の支持点でロープユーザーの体重を支え、かつ墜落しないように安全を確保する ので、便宜上『2点確保』と呼びます。『2点確保』では、ロープユーザーの移動方向の制約はなく、上下左右前後へと自由自在です。

  • 【2本確保 】①メインロープとライフライン ②シェードアンカー法
  • 【2点確保】①②シェードアンカー法 ②バックアップアンカー法

『2本確保』と『2点確保』のうち、『2本確保』は、『2点確保』の1形態と言えます。つまり、『2本確保』での2本のロープは、それぞれ異なる2点の支持点に緊結されているからです。集合論的に表せば 『2本確保』⊂『2点確保』 です。

『2点確保』は、ライフラインを超える安全確保技術・・・とされる所以です。

例外規定

「ライフラインは使わないのですか?」とよく、言われます。
改正安全衛生規則(2016年)の例外規定(経過措置)において、『調査・点検・検査』業務に限定した上で、
・・・・・【SORAT】技術ならライフラインを使わなくてもよい・・・・・ 旨の規定が明記されています。つまり、

  1. メインロープを異なる2点以上の強固な支持物に緊結すること。
  2. メインロープが切断するおそれのある箇所との接触を避ける措置(ディビエーション、リビレイ等)を講じること。

の2点です。
この例外規定が設けられた背景には、
①ロープ高所作業によるインフラ構造物の『調査・点検・検査』業務は、日本のインフラを守る重要業務であるとの認識。そのうえで、
②ライフラインを使っていては、移動が上下方向に限定されるので、3次元的な移動が必要な『調査・点検・検査』業務ができなくなる。
との危惧があったと考えられます。そのうえで、すでに安全実績をつんできている【SORAT】技術を精査し、ライフラインと同等(もしくはそれ以上)の安全確保技術である との判断に至ったと考えられます。

『2点確保』の大原則

【SORAT】では、“『2点確保』の大原則”を、
その根幹としています。

『2点確保』の大原則とは、常に2点(もしくはそれ以上)の支持点でロープユーザー(ロープ作業者)の体重を支える・・との大原則です。万が一、2点のうち1点での確保が失われても、もう1点が残るので墜落しなくて大丈夫・・との理屈です。つまり『2点確保』は、ライフラインを超える安全確保技術といえ、ライフラインを使わなくても、同等(もしくはそれ以上の)の万全な安全が確保できます。

2点確保の大原則 画像拡大

3次元への発想の転換

『2本確保』へのこだわりを捨てることで、
3次元移動が実現しました。

今、A点とB点の2つの支持点でロープユーザーを『2点確保』しているとします。ロープユーザーの荷重はA点、B点の両方、もしくはどちらかにかかっています。
では、移動してみます。
ロープユーザーは移動したい任意の方向にあるC点を次なる支持点とし、一時的に『3点確保』します。
次にロープユーザーは、荷重をB点、C点の両方、もしくはどちらかに移したうえで、A点での支持を解除します。
どうですか! 移動できましたよね。
この動作を繰り返すことで、3次元的に任意の方向に移動することが実現します。
しかも、常に『2点確保』しているので安全確保も万全です。

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